9月6日、全米オープンテニス男子シングルス準決勝。
第10シードの錦織 圭が第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)を6-4, 1-6, 7-6 (7-4), 6-3で勝利し、日本人初となるグランドスラム決勝進出を決めた。
この試合、同大会2011年覇者で世界ランキング1位のジョコビッチは緊張からだろうか体がかたくなっているように見え、正反対に錦織は序盤からダウンザラインを決めるなど挑戦者らしい積極的な攻めで、ジョコビッチから2度のブレークに奪い、第1セットを先取する。
第2セットでのジョコビッチは、角度のあるボールと巧みなドロップショットを繰り出し、錦織をゆさぶる戦略で攻め、ゲームカウント1-6でイーブンとする。
第3セットでは、両者1度ずつブレークに成功し、錦織にセット獲得のチャンスもあったが、結局タイブレークに突入。先にミニブレークで先手した錦織が第3セットの接戦をものにする。
第4セット、錦織は、第1ゲームから積極的に攻撃を仕掛け、ブレークに成功。錦織の放つ方向が読めない強烈なバックハンドの前に、守備範囲の広いジョコビッチさえも動けず、見送るケースが多くなる。
最後まで攻めの姿勢を変えなかった錦織がジョコビッチの揺さぶりにも揺るがず勝利をおさめ、男子アジア勢初で自身初となるグランドスラム決勝進出を決めた。
●試合後のインタビュー(WOWOWから抜粋)
「うれしいですね。世界ナンバーワンのプレイヤーに勝って、内容も特にすごい良かったので。少し2セット目を取られて嫌な流れというか、彼(ジョコビッチ)の本当の強さっていうのが出てきたのを少し感じ始めていたので、そこから逆転出来たのでうれしいです。」
「2セット目を取られた後に、後半はコートの中にしっかり入って振り切ることが出来ていたので、もう最高のプレーでした。」と自分のプレー、メンタル、技術について振り返った。
「初めての決勝なので、この決勝という舞台でも気持ちを揺るがさず、しっかりと強い芯を持ってやりたいと思います。」
「しっかり回復して、疲れも残っているので、決勝に向けて身体を切り替えて優勝目指して頑張ります。」とグランドスラム初優勝へ向けて意気込みを語り、メンタル面でも充実していることを感じさせてくれた。
日本人初のグランドスラム優勝という偉業達成をかけて錦織は、決勝で第2シードのR・フェデラー(スイス)をストレートで破った第14シードのM・チリッチ(クロアチア)と対戦する。
最近の対戦成績からみると錦織優位となるが、あの予測の優れたフェデラーでさえ返せなかった高速サービスにどう対応し、ストローク戦に持ち込むか錦織の真価が問われる戦いになるにちがいない。
対するチリッチは、怪我で順位こそ落としているが、元は世界ランク6位まで上り詰めた選手であり、昨年からG・イバニセビッチ(2001年ウィンブルドン優勝、強力サービスで有名)を監督に迎えて、サービスの強化とともに戦力を高めている。
懸念されるのは過熱気味のマスコミ取材である。そして、NHKも乗り出し、午後に録画放送を決定した。マスコミが優勢と勝手な判断すればするほど、勝利が遠のきそうな気配がある。
静かに戦況を見守りたいファンには、今頃騒いでと少し迷惑な話でもある。