6月8日全仏オープン(フランス/パリ、レッドクレー)男子シングルス決勝。
第2シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)は第1シードのラファエル・ナダル(スペイン)に6-3、5-7、2-6、4-6で敗れ、初優勝、生涯グランドスラムの願いは叶わなかった。
象徴的だったのは、最後のポイントをダブルフォルトで終えたこと。それは2012年の全仏の決勝、ナダル戦と同じ終わり方だった。
表彰式のスピーチでは「ラファ(ナダル)、そしてチームの皆様おめでとう。この大会を9回も優勝するなんて信じられません。今日はとても感動的な1日でした。ベストを尽くし、全てを出し切ったけどラファの方が強かった。それに限ります。おめでとうラファ。」
そして、ローラン・ギャロスの大観衆の拍手が、長い時間鳴り止まなかった。
その理由は、セットポイントこそ、1-3の単純な数字になってしまうが、1ゲームごと、いや1球ごとの攻防、せめぎ合いがこの試合に凝縮されていた。フィリップ・シャトリエの観衆はそのすべてを目の前で見ることができたからだ。
もし、録画したもの見るにしても早送りはもったい、好ゲームであった。「自分の限界まで戦った」というラファがあのラファが一瞬見せた苦しげが表情も印象的であった。
ジョコビッチはこの大会で優勝していた場合、念願である生涯グランドスラム達成と、大会後の世界ランキングで2013年9月30日以来、ナダルを抜いて1位の座に返り咲くこととなっていたが、共に先送りとなった。
ジョコビッチは「ラファは大切な場面で常に良いプレーをしてくる。もちろんこの敗戦は自分にとって落胆してしまうものだけど、人生はまだこれからも続く。これが最初で最後と言う訳じゃないんだ。」と語った。
ライバルが強ければ強いほど、自分がさらに強くならなければならない。この前向きな姿勢は世界のトップに君臨するための絶対条件でもある。
次なるライバルとの戦いのステージはウインブルドンに移る。