テニスエルボー
テニスエルボーとは、多くのテニス好きを悩ます肘(ひじ)の炎症による障害です。ショットによって炎症の部分も異なってきますが、多くの場合は、前腕から肘まで伸びる手首を反らせる筋肉と骨をつなぐ腱(けん)の細かい断裂をともなった炎症です。
テニスエルボーの原因は?
①肘の腱に関わる周辺の筋肉の老化・伸縮性の低下です。加齢により、筋肉の伸縮性が衰えてきて、その繋ぎ目である肘の腱がダメージを受け、これが原因の多くを占めます。
②フォームの悪さ(肘を伸ばした状態の無理なフォーム)、グリップサイズの不適合、筋力に合わない硬いガット(高いテンション、ポリ系ガット)などが炎症を引き起こす原因となります。
ストロークでテニスボールを打つと、約20kgの重さのある物を持ち上げるのと同等の負担が肘にかかるといわれています。数回なら問題ない衝撃でも100回も繰り返したら、疲労は蓄積されてしまいます。練習なら、すぐにその回数は超えてしまいますよね。
プロ選手の腕っぷしを見てください。あのぐらい太く鍛え上げられたなら、どんなに硬いラケットでフルスイングしても大丈夫でしょうけれど、ウィークエンド・プレイヤーや女性の筋力では、結構な負担となります。
テニスエルボーのいろいろ
バックハンド・ストロークが原因のテニス・エルボー
バックハンドを打った時に肘の外側に痛みが走るエルボーのことで70〜80%の人がこのエルボーで、片手バックハンドのプレイヤーに多くみられます。
医学用語では、「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつ・そとがわじょうかえん)」といいます。
バックハンドは手首を内側に返して打つため、そのたびに肘の外側の筋肉は収縮運動を繰り返します。この運動がよって筋肉や腱に負担がかかり、炎症を起こしたり腱に微細な亀裂が入ってしまい、肘の外側に痛みを生じます。
バックハンド・ストロークが原因のテニス・エルボー
フォアハンドを打った時に肘の内側に痛みが生じるエルボーのことで、ゴルファーにも多く発生することから「ゴルフひじ」とも呼ばれます。
フォアハンドは手首を外側に返して打つため、この状態でボールを打つと肘の内側に力が加わります。繰り返しこの力が加わることで、肘の内側の軟骨や腱が傷つき、肘の内側に痛みを生じます。
医学用語では、「上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつ・うちがわじょうかえん)」といいます。
サービスが原因のテニス・エルボー
サーブのインパクト、フォロースルーの時に肘が一直線に伸びきって打つと、なりやすいエルボーです。
肘が一直線に伸びきってしまうことで、肘を起点に2つの骨がぶつかり合い、骨の一部がトゲのように尖ってしまったり、関節の中に骨の一部が遊離していたりすることで肘の後ろに痛みを生じます。重症の場合は、疲労骨折を起こしてしまいます。
ケガを予防するには
練習前後のストレッチやアイシング
テニスエルボーの予防としては練習前のストレッチと練習後のストレッチです。練習前のストレッチは筋肉が冷えて硬くなっているので、いきなり強い負荷を掛けずに行います。
そして、ないがしろにされやすいプレー後のストレッチは、ケガの予防や疲れを緩和させる効果がありますので必須としましょう。
また、練習後は痛みが出ていなくても肘あたりに炎症を起こし熱をもっていまので、氷や冷湿布などでアイシングすることもテニス肘を予防することにつながります。テレビでプロ野球のピッチャーが登板後に肩をアイシングしている姿をみることができます。
インナーマッスルの強化
ダンベルを使用して筋力強化することもテニスエルボーの予防につながりますが、方法を間違えると逆効果になりますので、トレーニング方法についてはトレーナーやテニスコーチに相談したほうがベストです。
手軽で効果的なのが、インナーマッスル(身体の内側の細かい筋肉を鍛える方法です。
映像を参考にしてください。輪ゴムを使った簡単なトレーニングで、親指と薬指に輪ゴムをかけて、上下に伸ばします。これによって肘の腱に関わるあたりの細かい筋肉を鍛えることができます。
テニスエルボーになったら?
いろいろ予防しても、ある日にテニスエルボーになってしまうことはあります。
もちろん、一番の処方はテニスを休むことです。軽症だったら、回数を減らし、ストレッチの徹底、アイシング、痛みのあるところにシャワーでマッサージというのも効果的です。血行を良くすることも筋肉をほぐす働きをします。
重症でしたら、スポーツ専門医にかかるのが早道です。ここのサイトで調べることができます。スポーツ救急箱 http://www.s-99.com/
私が初めて経験したテニスエルボーでは、たいしたことはないと思い、2、3日欺し欺しやっていれば、回復するだろうと甘い考えで痛みを我慢し、3日間プレイをしてしまいました。その結果、最後にはボールを打つ度に激痛が走るようになり、回復するのに3ヶ月もかかってしまいました。武士が刀を持てないというのは、情けなくとても悲しいことです。
今では違和感を感じると休んだり、回数を減らすことで、再発を防いでいます。
そうです。「急がば回れ」という言葉はテニス愛好家にとっての金言かもしれません。テニスをしなくても死ぬことはないし、治れば死ぬまで出来るのです。
自分の体は、たった一つです。大切にしないと長い人生?テニスを楽しむことは無理ですよ。
なお、治り始めたら無理は禁物です。前後のストレッチ、アイシングを欠かさないようにすると回復が早くなります。
テニスエルボー対策グッズ
①エルボーバンド:肘への振動を抑える
②エルボーサポーター:肘周辺の筋肉全体を保護する
③アイスバック:練習後のアイシングをする
④振動止め:ラケットの振動を吸収する