4月3日、マイアミ・オープン(アメリカ/マイアミ、ハード)男子シングルス決勝戦。
第6シードの錦織圭は第1シードで世界ランク1位のN・ジョコビッチ(セルビア)に3―6、3―6のストレートで完敗し、準優勝に終わり、マスターズ初優勝をも阻まれた。
一方、ジョコビッチはA・アガシと並ぶ、この大会最多勝利の6度目の優勝と3年連続の優勝を果たした。さらにマスターズでR・ナダルを抜く28回のタイトルと今季4度目の優勝を飾った。
第1セット第1ゲーム、錦織が落ち着いたプレイで長いストローク戦を制し、先にブレークするが、第2ゲームでジョコビッチにブレークバックされる。
第6ゲーム、錦織がボレーで前へと攻めるが、パッシングショットを決められ、ブレークを許す。
第7ゲーム、ジョコビッチのサービスの乱れがあり、ゲームポイントを握った錦織がバックハンドのリターンエースを決めてブレークバックに成功。
第8ゲーム、錦織がファーストサービスに苦しむ隙をつかれ、ジョコビッチに3度目のブレークを許す。
第9ゲーム、ジョコビッチがラブゲームでサービスキープをし、第1セットを先取。
第2セット第1ゲーム、錦織がサービスでポイントを重ねるが、33回の長いラリー戦でジョコビッチがドロップショットで制しブレークチャンス。錦織も攻めてチャンスボールが上がったが、風に影響されスマッシュミス、そしてボレーがサイドアウトし、先にブレークを許す。
第2ゲームからはサービスゲームでジョコビッチは隙を与えないプレイで、錦織の追撃をかわす。錦織がリターンからの連続ポイントを取るなど優位に立つが、ゲームの流れは変わらず。
第7ゲーム、錦織がデュースからのサーブの後に左ひざを気にする動きを見せるが、サービスキープ。しかし、メディカルタイムアウトで3分間の治療を受ける。
第8ゲーム、容赦なく左右に打ち分けるジョコビッチのボールに錦織のストロークが乱れ、チャンスをもらえずにラヴゲームでサービスキープされる。
第9ゲーム、錦織はデュースに追い込まれるも16回のラリー戦でアドバンテージを取るが、ひざの影響か痛恨のダブルフォールトし、その苛立ちからかラケットを投げる。2度のチャンピオンシップポイントを逃れるが、最後は錦織のボールがベースラインをわずかにオーバーし、1時間26分のゲームは終わった。
試合は終わってみれば、マスコミが使った「王手」という戦いにはならず、強い王者の前に平伏す結果となった。試合後、錦織は「ジョコビッチは守備がすごいし、ブレークするのが難しい。自分のサーブが入っていなかったのでキープするのがかなり難しかった。風もあって自分のやりたいようなプレーができなかった。現状では彼に弱点はない」と語った。
王者ジョコビッチの追いこんでもベースライン深く返球されるボール、勝負どころでコーナーぎりぎりのショットで決められるなど、攻撃的に自分らしいテニスをしなくてはならないと決めていた錦織の上をいく、ジョコビッチの底力に屈服した内容となった。
しかし、今回の錦織はジョコビッチとの前回の対戦(全豪オープン準々決勝)での一方的なゲームより一段レベルアップした戦いができたのではないだろうか。
ジョコビッチが返球する深いボールはあのフェデラーでさえも、アンフォーストエラーを重ねてしまうほどの難しい球である。しかも、他の選手なら当然に決まるアプローチショットでも厳しいパッシングショットが返ってくる守備力も脅威である。
長いラリー戦では堂々とジョコビッチに対抗し、優位に立つことも出来た。もう少しジョコビッチのボールに慣れて、対応力を高めれば、拮抗する戦いができるのではないだろうか。それには、さらにサービスの安定率を高める必要があるが、、、。
男子ツアーは、これより全仏に向けてクレーコートシーズンに入る。ジョコビッチの打つ球に慣れてはじめている錦織が次の戦いでどんな戦いをするか。さらなる進化を期待したい。
今回の準優勝で、錦織の世界ランキング6位は変わらないが、初戦で途中棄権したR・ナダルとのポイント差を前週の920から465ポイントへ縮めた。