25日、全仏オープン(フランス/パリ、レッドクレー)男子シングルス2回戦。第5シードの錦織圭が世界ランク40位のA・クズネツォフ(ロシア)を6-3, 6-3, 6-3のストレートで下し、昨年のベスト8に続き、2年連続の3回戦進出を決めた。
第1セット、錦織は第3ゲームでブレークされてリードを許す展開となる。
錦織は試合後のインタビューで「最初、あまり自分が打っていなかった。彼(クズネツォフ)がいいボールをクロスに叩いてきた」とクズネツォフの強打に苦しんだ。
クズネツォフのグラウンドストロークの球質は、回転量の少ないフラット系で球のスピードは速い。その球速に押され、約6年ぶりの対戦で様子を見すぎてしまったことも手伝い、主導権を握られ、クズネツォフの得意な打ち合いの領域に入ってしまった。
しかし、今シーズンの錦織の修正能力が以前と次元が異なる。第5ゲームで戦略を変えて、自ら球速を落とし、回転量を増やし、ベースラインに深く配球したり、ショートアングルでラインぎりぎりの攻めを始める。
錦織の言葉を借りれば「どちらかと言うと、打ち合いを諦めて、テンポを変えなければいけないと感じ、高いボールもまぜたら、だいぶリズムも変わった。」である。
この変化にクズネツォフのテニスは対応できず、その後、ネットにかかるミスショットが増えていく。錦織がわずか1ゲームで主導権を取り戻し、優位にたった象徴的なプレイであった。
そして、ラリー戦のテンポを変えてからは、2・3セット目、フォアやバックのダウンザライン強打を交え、会心の勝利を導いた。
クズネツォフは上り調子の選手であり、今季は全豪オープンベスト16、クレーのバルセロナでベスト8など、ランキングの数字以上に侮れない相手だった。
しかし、前哨戦のBNLイタリア国際でジョコビッチと互角の戦いをした収穫は大きく、クレーコートでの戦いに大きな自信を得たに違いない。
試合後の会見でその時の心境を話し「どちらかというと、打ち合いをあきらめて――なかなか、男としてはツライ判断だった」と笑いを誘った。
3回戦では、元世界ランク7位のF・ベルダスコ(スペイン)と対戦する。
両者は今回が4度目の対戦で、過去は錦織から1勝2敗で直近は昨年のBNPパリバ・オープンで、錦織が逆転で勝利した。しかし、ベルダスコは今年の全豪オープンでR・ナダルを打ち負かしており、クレーコートには自信をもっている強敵でもある。
錦 織 3 6-3
6-3
6-30 クズネツォフ
- クズネツォフを破り、観客の声援に応える錦織圭(共同)
- 3回戦進出を決め、ファンにサインをする錦織圭(共同)
第3セット
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 T 計 錦 織 ○ ○ ○ ◎ ○ ○ 6 クズネ ○ ○ ○ 3 ○はキープ、◎はブレーク、Tはタイブレーク
<第9ゲーム> 錦織のサーブ。0-30から錦織が2ポイントを奪い返し30-30に。40-30から最後はバックハンドのストレートをライン上に決め錦織が3-0のストレートで快勝。3回戦へ駒を進めた
<第8ゲーム> クズネツォフのサーブ。30-0で錦織がラケットを交換。40-15で錦織のショットが大きく外れクズネツォフがキープ
<第7ゲーム> 錦織がラブゲームでキープ
<第6ゲーム> クズネツォフのサーブ。0-15から錦織が飛び上がって高い打点からエアKを決める。0-40からクズネツォフが1ポイント返すが、最後は錦織の強烈なフォアハンドのショットをクズネツォフが返せず。錦織がブレーク
<第5ゲーム> 錦織のサーブ。40-0からフォアハンドのクロスをクズネツォフが返せず錦織がキープ
<第4ゲーム> クズネツォフのサーブ。0-40から錦織が1ポイント返すが、最後はサービスエースを決めたクズネツォフがキープ
<第3ゲーム> 錦織のサーブ。15-15から厳しいコースにフォアハンドの逆クロス、クロスを連続して決めるなどポイントを重ねた錦織がキープ
<第2ゲーム> クズネツォフのサーブ。40-0からサービスエースを決めたクズネツォフがラブゲームでキープ
<第1ゲーム> 錦織のサーブ。40-0からファアハンドのストレートを決めた錦織がラブゲームでキープ
第2セット
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 T 計 錦 織 ○ ○ ◎ ○ ◎ ◎ 6 クズネ ○ ○ ◎ 3 ○はキープ、◎はブレーク、Tはタイブレーク
<第9ゲーム> クズネツォフのサーブ。15-30からクズネツォフのドロップショットを読み切った錦織がバックハンドで強烈なクロスを決める。ジュースの末ブレークに成功した錦織が第2セットを連取
<第8ゲーム> 錦織のサーブ。0-30となったところで錦織がラケット交換、直後に3連続ポイントを奪うがコードボールが錦織サイドに落ちる不運もありジュースに。3度のジュースの末、最後は前に出た錦織のショットがネットにかかりクズネツォフがブレーク
<第7ゲーム> クズネツォフのサーブ。30-40から錦織がフォアハンドの逆クロスを決めジュースに。2度のジュースの末、最後は錦織の強烈なバックハンドのストレートをクズネツォフがネットにかけて錦織がブレーク
<第6ゲーム> 錦織のサーブ。30-30からクズネツォフのリターンに対して錦織がフォアハンドのクロスを決める。最後はクズネツォフのショットがネットにかかり錦織がキープ
<第5ゲーム> クズネツォフのサーブ。厳しいコースへのリターンを決める錦織が3連続ポイントで0-40。30-40から錦織のリターンをクズネツォフがネットにかけて錦織がブレーク
<第4ゲーム> 錦織のサーブ。30-30からサーブで崩し、フォアハンドで強烈なショットをたたき込む。4度のジュースの末、最後はクズネツォフのショットがアウトとなり錦織がキープ
<第3ゲーム> クズネツォフがラブゲームでキープ
<第2ゲーム> 錦織のサーブ。40-0からリターンエースを1本決められるが、最後はクズネツォフのリターンがアウトとなり錦織がキープ
<第1ゲーム> クズネツォフのサーブ。0-30から4連続ポイントを奪ったクズネツォフがキープ
- リターンを放つ錦織(AP)
第1セット
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 T 計 錦 織 ○ ○ ◎ ○ ◎ ○ 6 クズネ ○ ◎ ○ 3 ○はキープ、◎はブレーク、Tはタイブレーク
<第9ゲーム> 錦織のサーブ。30-15から鮮やかなドロップショットを決める。1ポイント返されるも、最後はクズネツォフのショットがアウトとなり錦織が第1セットを先取
<第8ゲーム> クズネツォフのサーブ。40-30から錦織が返しジュースに。錦織が深い位置からバックハンドのストレートを決めアドバンテージ。最後も強烈なショットを決めて錦織がブレーク
<第7ゲーム> 錦織のサーブ。40-15からクズネツォフがドロップショットをネットにかけて錦織がキープ
<第6ゲーム> クズネツォフのサーブ。30-15から錦織のリターンを続けて返せず。30-40からの長いラリーをバックハンドのクロスで制した錦織がブレーク。錦織は小さくガッツポーズ
<第5ゲーム> 錦織のサーブ。40-15からクズネツォフのショットが大きく外れ錦織がキープ
<第4ゲーム> クズネツォフのサーブ。40-15からファアハンドのストレートを決めたクズネツォフがキープ
<第3ゲーム> 錦織のサーブ。15-40からジュースに持ち込むが、クズネツォフのリターンを錦織が続けて返せずクズネツォフがブレーク
<第2ゲーム> クズネツォフのサーブ。40-0から錦織が2ポイントを返すもクズネツォフがキープ
<第1ゲーム> 錦織のサーブで試合開始。15-30から錦織のサービスエースが決まる。ジュースとなるも錦織がキープ