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♠ナダルが13度目のグランドスラム制覇、ライバルは美しいゲームをつくる。


全米オープンテニス、男子シングルス決勝は、フルセットの攻防とならなかったが、私たちの期待どおり、否、期待以上の熱戦が行われた。

第1シードのノバク・ジョコビッチと第2シードのラファエル・ナダルの
マッチゲーム。あのレンドルvsマッケンローの36回をこえる通算37回目となる戦いは、ナダルが6-2、3-6、6-4、6-1で勝利。3年ぶり2度目の全米制覇と共に、グランドスラム通算獲得数を13に伸ばした。

第1セットは、ナダルの好調を現すようにジョコビッチに2ゲームしかとらせずに圧倒する。

しかし、第2セット2-3、ナダルがサービスの第6ゲーム、54ショットのラリー合戦の末、ジョコビッチがブレーク。次のゲームでナダルもブレークするが、ジョコビッチが主導権を奪い返す。
3-4での第8ゲーム、28ショットのラリー対決で、ナダルがドロップショットに逃げたところを決められ、勝敗を分けた。3-6でセットカウントをイーブンにされる。

第3セットに入っても、今大会絶好調だったナダルのサーブを、打ち破り、フォアの強打でウイナーを続けるジョコビッチが、一気に勝利に走りそうな気配を見せた。
だが、4-4の第9ゲーム、ナダルのサービスゲーム。0-40のビハインドからナダルが一気にギアを上げ、サービスキープ。第10ゲーム、ジョコビッチのサービスをブレークして、第3セットをゲット。ゲームの流れが一気にナダルに傾いた。

第4セットは、ミスの増えたジョコビッチをナダルが突き放す。3ゲームを連取し、ジョコビッチはかろうじてサービスキープをしたが、ナダルが3ゲーム連取。マッチポイントを決めたのは、フォアの逆クロス。ジョコビッチのショットは、ナダルのコートに返らず、ジ・エンド。

熱き男たちの燃えつきそうな戦いは、大観衆という証人がいるスタジアムで幕を閉じた。

「僕のゲームを限界まで引き出してくれるのは、ノバクのような選手だけだ」ともナダルは言う。

「僕らが戦うと、常にお互いの限界までプッシュするんだ」「結局、それが僕らの試合の美しさであり、ライバル関係なんだと思うよ」とジョコビッチは言う。

積み重ねた実績、記録を信じ、自らが勝ち取った全米のタイトル。その栄冠はナダルを「グランドスラムタイトル保持者ランキング」歴代3位へ引き上げた。常に成長し続け、不安や苦難を乗り越えて復活した男が、史上最高へ輝きつつある。

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