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<マル激・前半>「日本病」による失われた30年をいかに取り戻すか/永濱利廣氏(第一生命経済研究所首...

見事なまでに経済が成長しないまま30年の月日が過ぎる間に、日本は先進国のみならず新興国にも経済的に抜かれ始め、1990年代の世界トップの経済大国から今や先進国の地位さえも失おうかというところまで転落している。なぜこのような事態に陥ったのか。いや、より深刻なのは、なぜそのような状態からいつまでたっても抜け出すことができないのか。かつてパックス・ブリタニカの名を戴き、何世紀にもわたり世界の盟主として君臨しながら、1960年代以降、経済が停滞し、世界の盟主としての地位を失ったイギリスの状態は「イギリス病」と呼ばれた。それは主に「ゆりかごから墓場まで」で知られ世界の垂涎の的だった社会保障の肥大化に起因する経済不調だった。しかし、1990年代から30年の間に世界のトップから先進国の地位から転落するところまで落ち続けた日本の状況も、世界では今、「日本病」(Japanification)と呼ばれるようになっている。要するに世界の多くの国にとって日本は反面教師であり、「われわれはああはならないようにしましょうね」という、わかりやすい失政の実例になっているというのだ。第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏は、著書『日本病 なぜ給料と物価は安いままなのか』の中で、日本病とは低所得・低物価・低金利・低成長の「4低」が続く状況のことだとしている。そもそも日本が長期にわたる日本病に陥った最初のきっかけは、バブル崩壊後の政策上の失敗だったと永濱氏は指摘する。まず、日銀が金融緩和に着手するのが遅かった。バブル崩壊が始まった1990年初頭から日銀が利下げに転じるまで1年半、さらにゼロ金利に下げるまでには9年もかかっており、その間に日本はデフレに陥り、国民の間にデフレマインドが定着してしまった。経済が不況になると財政状況も悪くな...
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