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錦織圭、JW・ツォンガの強烈サーブにフルセットで敗れ、ベスト4ならず(2015全仏オープン)

Photo : atpworldtour.com

6月2日、全仏オープン(フランス/パリ)男子シングルス準々決勝。
第5シードの錦織圭(日本)は、第14シードのJW・ツォンガ(フランス)に1-6, 4-6, 6-4, 6-3, 3-6のフルセットで敗れ、大会初のベスト4進出とはならず、フィリップシャトリエのコートで四大大会初優勝の夢は破れた。

ツォンガは、地元の盛り上がる熱い声援の中、緊張するかと思われたが、相性の悪い錦織に対して慎重で丁寧なプレイでゲームに入っていく。

逆に、緊張のため硬さが見られた錦織は、第1セットの第2ゲームで先にブレークを許してしまう。
テニスは個々の戦いではあるが、この完全アウェーの状態は錦織の正確なショットを大きく狂わし、センターコートに吹き込む強い風も錦織の敵であるかのように暴れ、錦織のメンタルに影を落とす。

結局、錦織はこの流れを変えることが出来ず、第5ゲームで1ブレーク返すも自身のサービスゲームでもキープ出来ず、第1セットを1-6で落とす。

第2セットの第3ゲーム、サービスゲームをこの試合初めてキープした錦織だったが、これまでの試合とは別人のように、好調だったフォアハンド、バックハンドのアンフォースドエラーが多く、ファーストサービスの調子も上がらず、ツォンガの強打の餌食となってしまう。自らのミスによほど腹がたったのか第6ゲームではラケットを投げつけた。

この絶体絶命だった流れを変えたのが、第2セットの第7ゲームを終えた時点でのハプニング。強風により看板が落ち、観客が怪我を負う事故である。30分以上の中断の後、試合が再開された第8ゲームでブレークを決めて、錦織の逆襲が始まった。

ストローク戦では徐々に調子を戻してきた錦織のウィナーが決まり始めるが、先にツォンガにブレークを許した代償は大きく、強力サービスの前に第2セット4ー6で奪取される。

第3セット、錦織からの両者サービスキープが続くが、第10ゲームで初めてのブレークに成功し、土俵際で1セットを奪い返す。

第4セット、第4ゲームでツォンガのダブルフォルトのミスをついてブレークに成功。ストローク戦では優位に立てるようになるが、ツォンガの強烈サーブは健在でサービスキープを許す。錦織はファーストサービスに苦しみながらも最後までサービスキープをし、歳9ゲームでツォンガにトリプルのブレークチャンスを握られるが、最後はフォアのウィナーを決めて6−4、2セットオールに追いつき、勝敗をファイナルセットへと持ち込む。

ファイナルセット、第4ゲームで錦織がダブルフォルトを犯し、ツォンガが見逃さずにブレークされる。ファイナルセットに強い錦織に優位な展開になると思われたが、地元のファンの声援で息を吹き返したツォンガの猛攻が加速する。
結局、錦織は試合の主導権を一気にツォンガに奪われてしまい、2セットダウンからの大逆転勝利とはならず、ベスト4を前に姿を消した。

試合を通して錦織は52本のアンフォースドエラー、6本のダブルフォルト。トータルポイントはツォンガ149、錦織129。また、ツォンガのファーストサービスが入った時には83パーセントの高い確率でポイントをとられ、44本のウィナーを決められた。

試合後のWOWOWのインタビューで、第1セットを振り返り錦織は「ちょっと自分を見失ってしまっていた。やる事全てが上手く行かなかった。」と、冷静に試合を進める錦織らしくない精神状態だった事を明かし、アウェー戦のむずかしさを痛感していた。

「今日は最初の出だしが悪く、その中でなかなか突破口を見つけられなかったので、そうゆう冷静さだったり、集中力っていうのが、もうちょっと必要かなと思います。」と、トップ選手たる課題である、冷静さや集中力にもふれていた。

試合後の公式フェイスブックでも、錦織は自身の試合を振り返り、
「Tough day yesterday. Never easy to lose like that. I will learn from this and improve for the future. On the way home to Florida now for some days off and get ready for the grass. See you next year Paris!」

「昨日はタフな日だった。あんな風に負けるのは簡単じゃなかった。」
「僕はこの負けから学び、また成長するだろう。今からフロリダに帰り、数日間オフをとってグラスコートシーズンに向けて準備をする。」と6月末から行われるウィンブルドンへ向けてコメント、そして「See you next year Paris!」のフレーズで締めた。

今年のテニスシーズンは、まだまだ続き、彼のテニス人生も、まだ中間地点なのである。一つ一つの経験が錦織圭をさらに強くすることは間違いの無いこと。我々は「優勝」と簡単に煽るマスコミに踊らされることなく、無二の至宝の成長を暖かく見守っていきましょう。

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